ゴルフ場の利用料を交際費として処理しようと考えている会社も多いでしょう。しかし、交際費の課税取引として一括処理するのではなく、ゴルフ場利用税や緑化協力金を消費税の処理で不課税取引とするなどルールがあるのです。そこでこの記事では、ゴルフ場利用税を解説します。ゴルフを利用する機会が多い方はぜひじっくり読んでみてください。
ゴルフ場利用税の基本知識
ゴルフ利用税は、日本国内でゴルフを楽しむ際に課税される税金のことを指します。ゴルフコースの利用料金に対して一定の割合で課税される形態となり、地方自治体が自主的に導入することが一般的です。以下では、ゴルフ利用税の詳細な内容や徴収の仕組みについて解説していきます。
■ゴルフ場利用税とは?
ゴルフ場利用税は、ゴルフ場を利用する人に対し、利用日ごとに定額でかかる税金のことを指しています。「ぜいたく税」とも呼ばれており、戦後にできた娯楽施設利用税の生き残りです。戦後にできた娯楽施設利用税の多くは1989年の消費税の導入で消滅し、ゴルフ場利用税のみが残りました。
収めるのはゴルフ場の利用者側であり、ゴルフ場側が負担するものではありません(ゴルフ場が利用者から徴収し税を収めます)。ゴルフ場利用税の税収の7割は、ゴルフ場のある市区町村に交付されます。
ゴルフ場利用税はゴルフ練習場を対象としておらず、打ちっぱなし練習場などの利用については課税されません。
■税額はゴルフ場の等級によって異なる
ゴルフ場利用税の額は一律ではなく、ゴルフ場の等級によって大きく異なります。ゴルフ場の等級はホール数や利用料金によって異なっており、1級から8級までの8つの等級が用意されています。
1級の1日あたりの税額は1,200円と最も高く、2級は1,100円、3級は1,000円であり4級は900円です。5級は800円であり6級は600円、7級は500円であり8級は400円です。ゴルフ場利用税の全国平均は1人1日あたり5級の800円だそうです。
1日あたりで発生する税金なので、ゴルフのラウンド日が多くなればなるほど、税金の負担は重くなります。たとえば5級のゴルフ場で年間30日ゴルフを楽しんだ場合は、800円×30の2万4,000円を税金として支払うことになります。
■非課税にされる場合もある
ゴルフ場利用税はゴルフ場の利用者全員が支払うものではありません。特定の条件をクリアすると非課税の対象となります(以下に、詳しく解説します)。
■税金が軽減される場合もある
ゴルフ場利用税は、年齢が65歳以上70歳未満であると半額になります。
また早朝利用や薄暮利用、夜間利用に該当する場合も半額対象です。ただ、早朝利用、薄暮利用、夜間利用に関しては、プレー料金が通常料金から2割以上減額されている場合に限られます。
■ゴルフ場利用税を廃止する動きあり
ゴルフ場利用税を廃止する動きも国会内にはあります(超党派ゴルフ議連や自民党ゴルフ振興議連など)。
一方で、地方自治体の税収が減ることになるため、地方自治体および総務省は存続を求めており意見が対立していることも事実です。ゴルフ場運営者は税金が減れば利用者が増えると考えられるため廃止を期待しています。
■地方自治体を支えるゴルフ場利用税
ゴルフ場利用税の7割が地方自治体の税収となります。全体の税収は約500億円にもなります。
ゴルフ場利用税が廃止された場合は、自治体へ補填しない方針を財務省は掲げており、そちらも総務省の態度を硬化させている理由のひとつのようです。
一方で、自治体の減収分を国が穴埋めする交付金を創設するとの意見も出てきており、今後の国会内の動きは慌ただしくなりそうです。
課税金額の決め方は?
前述したように、ゴルフ場利用税は等級ごとに金額が異なっています。課税金額の決め方としては、ゴルフ場のホールの数、そしてホールの平均距離、さらに整備状況がかかわってきます。
つまり名門コースと呼ばれるような、ホールが多く整備もしっかりとされているようなゴルフ場は等級が高くなる傾向にあり、結果としてゴルフ場利用税が高くなるのです。
■等級決定の仕組み
点数方式によって採点され、等級が決定していきます。たとえば、ホール数が18ホールを超える場合は35点、18ホールであれば25点、18ホール未満であれば15点となります。さらに利用料金が500円ごとに5点が加算されます。
例えば20ホールのゴルフ場で利用料金が1万2,000円であれば、35点(20ホール)+120点(1万2,000円)の155点になるわけです。1級のゴルフ場は160点を超えるもので、2級は145点超160点以下です。
3級のゴルフ場は130点超145点以下、4級は115点超130点以下、5級は100点超115点以下、6級は85点超100点以下、7級は70点超85点以下、8級は55点超70点以下とされています。
ゴルフ場利用税が掛からない場合がある
ゴルフ場利用税は誰でもかかるわけではなく、たとえば年齢が18歳未満や70歳以上だと非課税となります。ただ、運転免許証・身分証明書等年齢で証明する必要があります。
身体障害者も非課税とされていますが、障害者手帳など障害を証明が必要です。国民体育大会のゴルフ競技に参加する選手が、国民体育大会のゴルフ競技としてゴルフ場を利用する場合も非課税ですが、都道府県知事が発行する証明書を求められます。
学校の教育活動として行うゴルフ場の利用も非課税対象ですが、学長または校長の発行する証明書が必要です。
まとめ
ゴルフ場利用税を解説しました。ゴルファー側が都道府県に支払う税金がゴルフ場利用税であり、その金額はゴルフ場の等級によって1日あたり400円から1,200円がかかります。等級はゴルフ場のホールの数、そしてホールの平均距離、さらに整備状況が関わってきます。ゴルフ場利用税が掛からないケースや税金が半額に軽減されることもあるので、自身が条件に該当していないか確かめておくのもおすすめです。